世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

ゴルドーとグリゴ・1

探索司令部で上陸地点付近の小迷宮「東土ノ霊堂」の探索結果と地図を報告したタマモは、次なる迷宮「碧照ノ樹海」の立ち入りを許可された。ようやく樹海への挑戦権を認められたということだ。すでに多くの冒険者が調査に向かっているらしく、即席で作られたベースキャンプには正確さはともかく迷宮の情報が幾つも流れてきている。

先発の冒険者曰く「この迷宮はタルシスの世界樹に似ている」

半端な知識はかえって命取りになる可能性もあるが、全く知らないよりは幾分か危険度は低い。そう考えたタマモだったが、現在ナインテイルズにはタルシス出身者はいない。

「タルシスの冒険者を探しましょう」

熟練の冒険者に同行してもらえたら有難いが、情報が手に入るだけでも労力を費やす価値はある。いったんマギニアへと戻り、冒険者たちが集まりやすい酒場へと向かった。

 

酒場では筋骨たくましい胸に深い傷跡が残る男が酒を飲んでいた。見るからに粗暴で荒々しく、テーブルを挟んで反対側に座る細めの、荒くれ者に負けず劣らず大柄な男はさっきから辟易とした様子でいる。

そういえばマギニアには、国で過ごせなくなった犯罪者もいると聞いた。彼らもその類だろうか。

タマモがふたりを眺めていると、傷の方の男が視線に気づく。

「あ? なんだ、お嬢ちゃん、酌でもしてくれるのか?」

「すみません、見てただけです」

「お嬢ちゃん、こいつはとんでもない野蛮人だから、あんたみたいのが関わっちゃ駄目だ、あっちへ行ってな」

糸目の方が手首を虫でも払うように振りながら警告する。

「おふたりはタルシス出身だったりしますか?」

「なるほどな、お前、迷宮に挑む冒険者か。そんな小さいなりでよくやるなあ」

傷男が豪快に笑う。どうやら言動こそ粗暴だが、突然危害を加えてくるようなタイプの乱暴者ではないようだ。

「残念だったな、俺たちはエトリア出身だ。タルシスだったら、あっちのふたりがそうだな。ほら、あそこの赤毛と緑色の」

糸目の男が指さした先では、若い男女が険悪そうな雰囲気で互いに睨み合っている。

「ありがとうございます。では、失礼します」

「ちょっと待て、お嬢ちゃん。これも何かの縁だ。冒険者同士、名前くらい教えあっていてもいいんじゃないか。俺はゴルドー、こいつはグリゴだ。ギルドはまだない」

「タマモです。ギルドはナインテイルズ」

「そうか、あんたが新しい迷宮を発見した噂のナインテイルズか。小さいのにやるじゃねえか!」

グリゴという名の傷男が豪快に笑う。糸目のゴルドーは意外そうな顔をしている。どうやら見た目相応になめられていたそうだ。

 

自己紹介を終えたタマモは頭を下げて、赤毛の男たちのテーブルへと移った。