世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

帝国の騎士とウロビトの術士・2

タマモはいつもの酒場で人を待っていた。ウロビトと呼ばれる人とは異なる種族の術士ロウランから依頼され、マリオンの本人の意思を完全に介さない後押し、さらにカイエンからの帝国に恩を売っておくのも悪くないという余計な判断もあり、この度、迷宮で壊滅寸前にまで陥った調査団に協力することになったのだ。

半端な実力しか持たない連中が分不相応な夢を見た結果だ、本来ならば自分たちがそうならぬよう教訓にでもすればいい話でしかないのだが、引き受けてしまったものは仕方ない。溜息を吐きながら酒の入ったグラスを気怠く揺らした。

「待たせたな。貴公がナインテイルズの隊長殿か?」

全身に黒い甲冑を纏った女がタマモの前まで歩いてくる。どうやら彼女がロウランを雇い、調査団を率いていた帝国の騎士のようだ。

「この度の協力感謝する。私は帝国所属、皇帝直下第11戦闘大隊所属第23攻撃中隊所属第48突撃小隊通称黒騎士団副団長兼レムリア調査兵団第1部隊隊長兼調査兵団総指揮官、メリッサ・アルサケス」

もう一度お願いします、と思わず返しそうになったが、タマモはどうもと軽く会釈で返した。

「私はタマモ、ナインテイルズの一員で、特に隊長とかそういうわけではないです」

メリッサは特に何か返事をすることもなく、椅子に腰かけることもなく、直立不動の姿勢で続けた。

「恥を忍んで申すと、この度の調査で我が調査兵団は第1から第7まである部隊の内、ロウラン率いる第2部隊以外、壊滅的打撃を受けてしまった。生還したものもわずか数名、多くの者が凶暴な魔獣や魔虫に襲われ命を落とし、更に凶暴な竜との戦いで行方知れずとなってしまった。このままでは皇子から下された任務を続行することも出来ないと判断し、誠に勝手ながら貴公らナインテイルズと迷宮探索に関しての同盟を結ばせてもらいたい。条件は3つ。ひとつ、各々のギルドが迷宮に潜る際は協力を惜しまない。ふたつ、成果の取得権利は発見者を最有力権利者とするが、知識に関しては双方無条件で共有する。みっつ、一定以上の成果に関しては帝国に譲渡する、その代わり帝国からの十分な報酬を約束する。どうか我らと手を組んでもらいたい」

ずいぶん勝手な同盟だ、要するに自分たちでこれ以上の成果が見込めないから、誰かに代わりに探してもらおうということじゃないか。馬鹿馬鹿しい。

「お断りします」

タマモは迷うことなく断り、酒場を後にした。

 

酒場の外ではロウランが肩を震わせながら笑いをこらえていた。

「あんな条件で手を組むものがいるはずないのに、まったく人間、特に軍人という連中はどうしてこうも滑稽なのかね」

そういうことか。タマモはロウランを一瞥して、不愉快な感情を抱えたまま帰路へと就いたのであった。