世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

帝国の騎士とウロビトの術士・3

その夜、タマモはルイージャと共にベースキャンプ付近の森で野営をしていた。

この日は迷宮に潜るわけではなく、密かに開発している道具の材料集めの為の外出であり、わざわざ夜を選んだのもシノビの技術をあまり知られたくない、という癖の様なものが理由であった。

「んで、お嬢、あの話はどうなったんだ?」

「あの話って、帝国の? あれなら断ったよ」

「だよなあ、こっちに得があんまりねえよなあ」

ルイージャがそれはそうかといった顔で、草の上に寝転がる。

材料集めを終えたタマモも腰を落とし、集めた素材を袋に詰めていく。

暗闇の中から何かがゆっくりと近付いてくる。

タマモとルイージャが武器に手をかけると、近付いてきた何かが慌てて声を出して制する。

「待ってくれ、私だ。メリッサだ」

暗闇から出てきたのは昼間、検討の余地もない話を持ち掛けてきた女騎士だった。鎧ではなく、半袖の絹の服にスカート姿でいるせいか、昼間とは違った印象にも見える。

「おや、お前はビゾンテ兄妹の妹の」

「どうも、帝国の軍人様。こんな夜道にひとりでいると危ねえぜ」

メリッサは皮肉にも気づかず、力なく微笑みながら、茂みの向こうを指さす。

「昼間に兵の力を借りるわけにもいかないのでな。それにこれは私が成さねばならぬことなのだ」

タマモはメリッサの指さす方向に視線を向ける。シノビは総じて夜目が効く、もとい夜目が効かない者はシノビとして大成できるはずもない。その理から外れることなく、タマモも夜目は効く方で、実際に茂みの向こうに並ぶ十字型に立てられた杭を見つけるまで、さほど時間はかからなかった。

タマモが不思議に眺めていることにメリッサが気づいた。

「ああ、タマモ殿の国では形が違うのか。あれは墓だ。帝国でも幾つか種類はあるが、私の故郷では十字型の墓が一般的だ。各々、功を焦ったか見慣れぬ迷宮に対応出来なかったのか、とはいえ、私の下した命令で散ったのだ、せめて弔ってやらねばな」

どうやら彼女なりに責任を感じているようだ。

宗教も文化も違うから適切なのかわからないが、タマモは顔も知らない連中の為に、故郷で捧げている祈りを心の中でそっと呟いた。

 

翌朝、タマモ達が出発準備をしていると、黒い甲冑の女騎士メリッサが扉の前に跪いて深く頭を下げていた。

「私も、とある御方からの天上の命でここに来ています。故に貴方の出す条件を飲むことは出来ません。ですが、私は迷宮探索の成果すべてを持って帰るわけでもありません。貴方が欲しいものは貴方が持ち帰ればいい、ナインテイルズの一員として」

タマモはカイエンの方に目を向ける。

「そもそも故郷の違う者が集まったのだ、帝を満足させるに足るものがあれば、他は貢献度に応じて分けねばなるまい」

メリッサが表情を輝かせながら、顔を上げる。

「感謝する、タマモ殿、カイエン殿! レムリアにあるとされる空を飛ぶ船、我らはそれ以外は決して望まぬと誓おう!」

 

こうして帝国の騎士(インペリアル)メリッサが加わった。