世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

竜討伐

北に位置するハイ・ラガード公国の更に北に広がるハイランド地方の最北端に位置する山岳地帯。ここに生まれた者は男であれ女であれ「すべての正義であること」の信念の下に戦士として鍛えられ、傭兵としてハイ・ラガードの各地へ渡り、ある者は東のエトリアまで流れ、英雄として勇名を轟かせたらしい。

今、ひとりの若き、まだ10代半ば多く見積もっても後半の年頃であろう少女が、大振りの槍を掲げて、凶暴な竜に挑んでいる。

これ以上犠牲者を増やさないために、他の冒険者たちが少しでも安全に迷宮を調べられるように、これまで散っていった者達の無念を晴らすために。

そう、統べての正義であるために。

少女は槍を構えて竜めがけて突進した。彼女が覚えているのはここまでである。

 

少女が目を覚ますと、そこは密林の迷宮でも竜との決闘の場でもなく、マギニア冒険者御用達の宿屋〈湖の貴婦人亭〉のベッドの上だった。

外は祭りでも開かれているのか、大勢の人が浮かれ、騒ぎ、酒を飲んで踊っている。

「何が起きたの……?」

少女は階下へと降りて、カウンターに気怠そうに寝そべって、頭の上に太り気味の猫を乗せている宿屋の看板娘ヴィヴィアンに問いかける。自分が何故ここにいるのか、誰が運んだのか、竜はどうなったのか、外では何が起きているのか。

「ナインテイルズだよ。竜を討伐したんだって。本人たちは2階で寝てるけどね」

ヴィヴィアンが天上の方にちらっと視線を向け、眠たそうに欠伸をする。

「お祭りの日くらい宿屋を休みにしても怒られないよね。そう思わない?」

少女は問いかけを聞き流して、2階へと駆け上がった。

唯一、扉の閉まった部屋をノックして、返事をされる前に入室した。

ベッドの上には自分よりも何歳か幼いシノビの少女が横たわって、静かに寝息を立てている。同じく酷く破壊された甲冑を傍らに眠る女に、銃身の焼き付いた銃を抱えて眠る青年、憔悴しきった顔で横たわっている黒衣の少女、片腕を首から提げた布で吊ったまま眠る白髪の老人、激闘を終えた5人の冒険者が眠っている。

「あんたも目を覚ましたのか。大変だったんだぜ、うちの大将に言われて迷宮まで走って、あんたを抱えて帰ってくるのはよ。ま、あいつに感謝するこったな」

となりの部屋から顔を出した、胸元に深い傷のある大柄の男が豪快に笑って、そのまま階下へと降りていく。

 

どうやら自分は竜との戦いに敗れ、その後、目の前で眠っている彼女たちが竜を倒し、さっきの男に運ばれて一命を取り留めたようだ。

 

「そうか、負けたんだ……」

少女は部屋に戻り、槍を握りしめて、悔しさを噛み締めながら、ふかふかの布団の上に顔を突っ伏した。