世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

帰郷・2

レムリア上陸地点付近、旧ベースキャンプ跡地。

カイエンに頼まれたメリッサとロウラン、ルイージャが気球を組み立てている。どうやら帝国はメリッサ含む直属の将兵たちに気球を与えていたようだ。それもそのはずか、飛行都市マギニア自体が帝国の手の内にはない代物、そんなものに部下の命運を託すわけもない。さらに国を大きく揺るがすような貴重な発見物が見つかったとして、それを素直に持ち帰らせてくれる保証もない。今もなお無いとは言い切れない程度には、冒険者たちを取り残してマギニア軍だけがレムリアを離れ、各国に富や成果を渡さないで独占する、そんな可能性もあるのだ。国から直属に派遣された冒険者が、脱出方法を用意していても不思議はない。

むしろ何も持たされずに送り込まれた自分は、使い捨ての駒に過ぎないのだなと改めて思うくらいだ。

タマモが暗い顔をしていると、準備を終えたメリッサがそっと肩に手を置く。

「タマモ殿、我が主バルドゥール様の父君は10年以上前に行方不明となった。それを踏まえて我々に気球を持たせてくれたのだ。これは主の経験による差異でしかない、気に病むことではないよ」

「帝もその王子くらい気遣いの出来る方であればよかったんですけどね」

タマモは気球に視線を向ける。帝国製の大型の気球で、詰めて乗れば10人くらいは乗れるだろうか。さらに着水した際に船としても使えるように数本の櫂を積んである。

「お嬢、気球の操縦はあたしがやってやるよ。こっちに戻ってこれる保証もないんだ、メリッサが離れるわけにもいかねえからな」

ルイージャが気球へと乗り込む。

「私も乗ろう。気球の操作手が一人では心許ない」

続いてロウランが乗り込んだ。

「当然わしも乗り込む。タマモよ、運が悪ければ皆との今生の別れになるやもしれぬ。が、帝のことだ、更なる成果を求めてこよう。これは一時的な帰郷に過ぎぬ。そう思っておくのだ」

そう言ってカイエンが乗り込む。

 

「しばらく暇を貰うけど、その間は任せるね」

「任せといてよ。ボク達で次の迷宮を攻略しておいてあげるから」

タマモは以後のことをカタリナとヴァルバラに託し、残ったナインテイルズの面々とハッカペリターの双子を前に深く頭を下げて、気球へと乗り込んだ。

「じゃあな、おめーら。馬鹿兄貴のこともよろしくな」

ルイージャがそう告げながら、気球に火を入れる。

見る見る間に空へと上がった気球は雲を越え、気流に乗って空の彼方へと流されていった。