世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

狐の尾

どこをどう間違えたのか。

チェザーレと雲流斎は後ろ手に縛られた状態でレムリアの海岸に座らされていた。揉め事のどさくさに両勢力の中枢を叩き、事故と称して同行の連中も消しておくつもりだったが、ボロックマンモスの兵隊達はいつまでも姿を見せず、挙句の果てには背後を突かれて縛り上げられてしまった。

チェザーレはタマモを睨みつけると、視界内にヘルベルトの姿を捉え、即座にすべてを察した。この男が自分達の存在を、目論見を口にしたのか。

「裏切ったのね、若君様!」

「すまないが予定が変わった」

ヘルベルトが謝罪を口にした瞬間、帝がチェザーレの胸元に足を添えて、思い切り海に蹴落とした。それに続いて、カイエンも雲流斎を海に放り投げる。

「長々と話しても時間の無駄だ、帰るぞ」

タマモは帰路に着く帝とカイエンを見送りながら、ヘルベルトに目を向ける。戸惑っているのか後悔しているのか、青い顔をした青年を見るのは居心地が悪いというか、なんだか忍びないなと思った。

「私たちも帰りましょう。貴方はミュラーさんや航海女王の危機を救った、それでいいんじゃないですか」

出来の悪い慰めではあるが、それ以上の言葉は浮かばない。タマモは自分なりの言葉を告げて、佇んでいるヘルベルトの手を取って、無理やり連れて帰った。

 

数日後、手勢を潰され、タマモの気分ひとつでマギニアからも海の一族からも追われ、失態を知った他のギルドから追われることに成りかねないチェザーレと雲流斎が、ナインテイルズに庇護を求めてきた。

「図々しい人たち」

タマモは呆れながら溜息を吐き、ふたりを仕方なく迎え入れることにした。裏切る可能性もある、それでも自分の目の届かないところで暗躍されるよりは安全な気がする。そんな意図も含んだ判断であった。

その顛末を聞いたヘルベルトが慌てて走ってくる。

「タマモさん、いいんですか?」

「はい。私達を出し抜こうとした借りは返しましたから」

ヘルベルトが深々と頭を下げる。この男はふたりを信用出来ないながらも、育ちの良さか、それとも生来お人好しなのか、彼らが追われる身にまで落ちることは望まなかったらしい。

(まあ、貴方は何の被害も受けていませんしね……)

タマモは目の前の男のお人好しぶりに、そんな皮肉のひとつも投げたくなったが、それはそれで可哀相と考えて口を噤んだ。