世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 4周目 天球を抱える星術士

思い付きでつづる妄想マスタリーも4周目ですって奥様

奪取・2

猿ではない、それよりも幾分か速い人影が、颯爽と森の中へと消えていった。

帝はその人影を苦笑しながら眺め、はっきりとその目に捉えたわけではないが、この地を去ったシノビの少女が戻ってきたことを確信した。おまけに地図、地図だけではない資金も道具も持っていく図々しさまで兼ね備えて。

「帰った時は所詮小娘かと思ったが、なかなかやるではないか」

荷物を奪われたが悪い気はしなかった。むしろこの数日、次々と体調を崩していく失態に苛立ちと退屈を抱いていた帝には、丁度いい余興程度の刺激となってくれた。

「キリカゼ。俺は少し散歩に行ってくる。お前たちはそのまま休んでいろ」

「御意」

技は誰よりも切れるが慣れない環境に調子を崩している腹心のシノビに告げて、帝は刀を一振りだけ提げて、マギニアの街へと向かった。

 

「さあ、行きますよ」

タマモの掛け声が木霊して、ルイージャとグリゴ、ゴルドー、ヴァルバラが久しぶりに並ぶ小さい背中を楽しそうに見下ろしながら、マギニアの街を出発した。

地図は地下2階層の途中まで記されており、おそらくカイエン達はなんらかの妨害か足止めを受けて、手を拱いている内に調子を崩したのだろう。ならば自分の取るべき方法はひとつである。

「この地点になんらかの生物がいると思われます。今日はそれが何なのか確かめましょう、もちろん隙あらば仕留めて先へと進みます」

「避けるという選択肢は?」

「カイエンさん達が突破出来ていない、ということは、迂回路や避けて進む手段がなかったのでしょう。おそらくそれを探るのに時間を費やし過ぎて、体調も壊してしまったと思います」

「なら強行突破しかないか」

ゴルドーが糸目を不安そうに細めながら、まったく不安を感じていないことが余計に不安を掻き立てる残りの3人を横目で睨む。

「心配すんなよ、今日は偵察だ」

「はい、今日は無理はしません。まずは生物と地形を直に目で確認して、遠くから討伐出来そうならティコに来てもらいます」

「反対に、狭くて術が使えそうになかったら、あたしたちが頑張るしかねえってことだよな?」

ルイージャの問いかけに、タマモは静かに頷く。

カイエン達が討伐を避けた怪物、そうそう楽には倒れてくれないだろうな、とタマモは考えられ得る限り最悪な状況も念頭に置いていた。