世界樹の迷宮X妄想マスタリー雑記 3周目 赤髪の暗殺者

思い付きでつづる妄想マスタリーも3周目ですのん

布都御魂

布都御魂、或いはフツノミタマノツルギ。並大抵の金属では受け止めることも出来ない程頑丈で切れ味鋭く、斬ってよし、柄で叩くもよし、しかし真の使い道は絶対的な強度を活かした突貫であろう。あの強度であれば大蜥蜴の顎を貫くのも不可能ではない、そこを鉄線で縛ればある程度の間は火を吹かせずに済むかもしれない、タマモは策を練りながら同時に金策も練っていた。

 

「というわけで、馬鹿高い武器を買おうと思うので、皆さん協力お願いします」

タマモは双子を中心に協力を仰ぎ、翌日から虱潰しにするかの勢いで採掘や採集を始めた。勿論タマモも短剣を手に素材となりそうな植物の伐採に精を出した。しかしそう易々と用意できるような金額ではない。7日も経った頃には全員に疲労の色が浮かび、目標まで半分にも満たない現実が覆い被さってきた。

「あら、あなた達、ずいぶんお疲れじゃないの」

疲労困憊のタマモの前に、かつて海に落としたりと随分酷いことをした、否、タマモがしたわけではないので酷いことをされているのを目の当たりにしたが正解か、とにかく悲惨の言葉がよく似合うチェザーレが、わざとらしいくらいに偶然を装って通りがかった。

「聞いたわよ、お金に困ってるんですってね。そこであたしがひとつ、いい情報を教えてあげる。なんでかって顔してるわね、あの帝やカイエンが出し抜かれる姿を見たいからよ」

なるほど、それなら納得のいく話だ。タマモはチェザーレから羊皮紙を一枚受け取り、そこに記された廃墟に行ってみることにした。

 

その廃墟にはタマモには読めないが、異国の言葉が記された旗が飾られ、人の住んでいる気配もなく、また人が住める余地もない程に屋根も壁も崩れていたが、まだ盗掘や盗難にあっていないのか、一部の部屋には身分の高い者が暮らしていたのであろう銀製の立派な食器や高価な美術品、業物といっても差し支えない武器、そういった売れば金になるものがごろごろと転がっていた。

(どこのどなたかは存じませんが、有り難く使わせていただきます)

タマモは心の中で感謝の念を呟き、手始めに目の前にある剣に手を伸ばした。

「呆れた。戻ってきたと思ったら、泥棒になったの?」

その声に慌てて振り返ると、いつの間に近づかれたのか背後に弓矢を構えているシャロンが立っていたが、すぐに弓矢を背にしまって、

「なんてね。チェザーレに言われたのよ。君に手を貸してあげて欲しいって。君に策を見抜かれたのが、相当悔しかったみたいね」

そう言って服の袖から鍵を取り出し、部屋の奥に置いてある金庫を開いた。

「ここはヴァシレフスの倉庫だったの。そしてここに残っているのは私の元主ウィルヘルム・ゴダールの私物と財産。あの人が戻ってくるまでそのままにしておこうと思ったけど、食器も武器も美術品も金も、こんなところで眠ってるよりは誰かに使われた方が本望でしょう。半分君たちにあげるわ、その代わり大事に使ってくれそうな人に売ってあげて」

シャロンの感傷はあまり理解できなかったが、タマモはその言葉に甘えることにして、食器は酒場や宿屋に、武器はマギニア軍と海の一族に、美術品は時々顔を見かけるコレクター達に言い値で売り渡し、未だ見ぬウィルヘルムとやらに悪いとは思いつつも、ネイピア商店の暖簾を潜り、晴れて布都御魂を買い上げたのであった。